お寺や神社ってほんと癒されますよね。
どこか凛とした雰囲気が漂っていて、その趣きに安らぎを感じると「あぁ、自分は心底日本人なんだなぁ」って感じたりしちゃいます。
観光客が沢山来るお寺も荘厳さが際立っているものが多くてそれはそれで楽しめますが、田舎や近所にひっそりと佇んでいるお寺に入った瞬間の独特の空気の変化なんかも身が引き締まる感じがしますよね。
日常とはかけ離れた空間の中に身を置くのは最高の贅沢だと思いませんか?
これはまさしく枕草子でいう「いとおかし」の世界です(懐かしい!)。
実は今、日本らしさというものが見直されはじめ、非日常的な体験としてクローズアップされてきています。
お寺の世界も然り、宿坊(しゅくぼう)が名前を変え寺ホテルとして今注目を集めつつあります。
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寺ホテルとは何なのか?
今回は宿坊の歴史を紐解きながら寺ホテルの今後について紹介させていただきます。
そもそも宿坊って?宿坊の過去と現在
日本人は元々旅行が好きな人種で、2018年の国内旅行客数も延べ6億人超(日帰り含む)と一人当たり年6回は国内旅行を楽しんでいる旅行大国です。
その背景には天下泰平をもたらした徳川家康(=江戸時代)の存在が大きいといえます。
戦国時代を経て家康が開いた江戸幕府は庶民に平和をもたらしたのと同時にインフラ整備も急速に進んでいったため温泉地やお寺などを巡る旅行も流行しました。
宿坊(しゅくぼう)というのはお寺や神社にある宿泊施設のことで元々は信徒や貴族階級が利用していたのがほとんどでしたが江戸時代に入り一気に庶民まで浸透し、お寺や神=宿泊する施設というイメージがついていたともいわれています。
ただ、交通手段の発展や宿泊施設の専業化なども相まって徐々に一般の方が宿坊を利用することは無くなっていったのですが、インバウンドの急激な増加から日本でしか味わえない宿坊すなわちお寺ホテルが活気を帯びてきたわけです。
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非日常を味わえる寺ホテル
寺ホテルが話題となっているのは2017年に岐阜県の高山善光寺にてオープンした「TEMPLE HOTEL 高山善光寺」の影響が大きいでしょう。
体験型のステイサービス「お寺ステイ」を運営している株式会社シェアウイングが手がけた宿坊再生プロジェクトの第一弾で、かつての宿坊を蘇らせるとともに体験を重視される海外からの旅行客をターゲットとした宿泊施設として人気を集めています。
宿坊というと古臭いイメージがあるかもしれませんが「TEMPLE HOTEL 高山善光寺」では各部屋をリフォームしなおしてノスタルジックさを残しつつもモダンを取り入れた作りになっており、シャワールームやトイレなどの設備も完備しているので国内旅行慣れしたかたや宿坊に抵抗があるかたでも満足できる宿泊施設になっています。
宿坊ですのでお寺の美しい風景を楽しみつつ座禅や読経などの修行体験もできるとあり、正に日本を体験できる寺ホテルだと言えます。
徐々に浸透しつつある寺ホテル
実際「TEMPLE HOTEL 高山善光寺」の宿泊客の95%が日本文化に興味をもった外国人観光客で国内観光客はまだまだ少ないのが現状です。
ですが旅行サイトで有名な楽天トラベルやるるぶトラベルなどでも宿坊の特集が組まれるなど国内でも寺ホテルが徐々に活気を帯びてきています。
2019年現在全国で宿坊をネット展開している施設は80か所以上あり、その関心度の高さがうかがい知れます。
私は以前後輩の実家であるお寺に泊まらせてもらったことがあるのですが、お寺独特のピンと張った空気の中で生活するのはとても心が穏やかになり清められていく感じがして気持ちがいいものでした。
朝、日が開け始めたころに起き、自分で布団をたたみ、座禅を組んだ後に精進料理をいただく…朝一に飲んだ手水舎もとてもおいしかったのですが、こういった自分を見つめなおす機会はそうあるものではありません。
それ以外にも地域の子供会や修学旅行、社員旅行でお寺に足を運ぶ機会をいただいたのですがそれぞれの年代でそれぞれ違う感じ方を味わえるのも寺ホテルの特徴だと言えます。
今、シニアを中心として寺ホテルの利用が増えていますが、リピーターの割合も多いようで今後伸びていく宿泊形態と言えるでしょう。
寺ホテルって何?外国人やシニアがリピーターに?修学旅行気分にも?のまとめ
寺ホテルについて紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?
日本らしさを体験できるとあって外国人観光客に人気のある寺ホテルですが、そもそも日本らしさとは何でしょうか?
2020年に東京オリンピックが開催されますが、それに関係するCMや広告を見て違和感を感じませんか?
大概は日本人が外国人をおもてなしする内容になっていますが、その日本人は私たちの日常にいる日本人とは違いますし、日本らしいなと感じる風景を映し出されても身近にそんな環境のない方がほとんどだと思います。
つまり私たちも日本人らしさの体験が希薄なのです。
21世紀に入り、各国の文化が融合、淘汰していく中で、日本の文化も例外にもれず薄く、廃れていっているのが現状です。
今一度日本人のアイデンティティーを取り戻すためにも寺ホテルで非日常の日本を味わってみてはいかがでしょうか?
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