新型コロナウィルスの感染拡大を受け昨日、安倍総理は来週から2週間、全国の小中高に対し一斉臨時休校を要請した。
この異例の事態はとても象徴的である。
コロナウィルスの最も深刻な害とはウィルス自体にはない。
誤情報・デマに踊らされる人、あるいは危機に立ち向かう姿勢をアピールしたい人たちが社会にもたらす害にあるのではないだろうか。
ジャーナリスト・津田大介は朝日新聞のコラム『論壇時評』(2月27日・2020年)でこの騒ぎの問題点を「インフォデミック」だと指摘している。
これはWHO(世界保健機関)が発表したパンデミック(感染症の世界的流行)に引っ掛けた情報被害の名称だ。
SNSなどネット上では日々、感染拡大をあおるデマにあふれている。
インフォデミックとはそれらが人に不要かつ過剰な行動を促し、社会に実害を与える状況を意味する。
日本ではすでに東日本大震災時を上回る景気後退が予想されてもいる。
コロナウィルスに対して、私たちはどうすればいいのか。さまざまな角度から考えたい。
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パンデミックとは程遠いコロナウィルス
日本におけるインフォデミック・情報被害の最たる表れはやはりマスクの大流行にある。
コロナ騒動が続く中、この数週間で全国のドラッグストアからマスクが消えた。
現在政府は月に10億枚近く増産してマスク不足を解消しようとしている。
これには、そんなことよりマスクに関する専門家の意見を流した方が遥かに有益だと思った人は数多くいるだろう。
専門家の多くは、
マスクの基本的な用途が他者への感染拡大予防策として病人が使うもの
だという意見で一致。
また、マスクには他者からのウィルス感染予防策として大きな効果はない
という見方でも一致している。
ウィルスは大半のマスクのすき間を通過するほど小さく、目から感染することもある。
もちろんマスクでは手からの感染は防げない。
一方で政府やマスコミはコロナの危険性が大きくないというファクトも発表している。
だがそれは不安をあおりたてるニュースの中に埋没している。
その1つがWHOの事務局長の示唆、つまり感染率の高さからコロナがパンデミックになる可能性があるということである。
確かに感染率はすごい。
だが、コロナ感染者のほとんどが無症状か軽症であり、中国での致死率は3パーセント程度。
2月末の時点で中国ではすでに回復した人の数が新たな感染者の数を上回り終息に向かっている。
このファクトは、コロナの実体がインフルエンザの一種に過ぎないことを示している。
あれほど世界中で猛威をふるったSARSにしても、今は世界中で季節性インフルエンザの中にふくまれているのだ。
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SNS上の感情論が覆う現代社会
コロナ騒ぎは明らかなインフォデミックである。
それはフェイクニュースとも共通している。
誤情報の拡散と過剰反応による社会への実害の連鎖は、SNSが実社会を支配しつつある時代性を反映しているのではないか。
目立つものが勝つ広告収入が柱のSNSの世界では、見る人の理性ではなく感情に訴えかける情報の方が圧倒的に重視される。
それによって今回のコロナ騒動でも不安をあおる感情的な情報ばかりがスマホやネットを覆うことになったといえる。
それに同調する政府やマスコミはSNSと相乗効果を発揮している。
それらは今回の事態を災害対策と混同し、国民の命を守るという感情論で一致団結しているようだ。
理性的な判断が働いていない状況での危機対応とは、単なる自己満足にすぎない。
多くの場合、それは自分の勇敢さや有能さをアピールしたいだけの自己顕示欲によるものだ。
的外れで過剰な危機対策は逆にまったく別種の害をもたらす。
今回でいえば最も大きいのは使い捨てマスクの過剰生産・大量廃棄にともなう環境破壊である。
それは日本の景気後退などよりも世界の未来にもたらす遥かに深刻なダメージであるに違いない。
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デマ情報に踊らされる人の深層心理
あなたもマスクをこれ以上買わないために、インフォデミックに走りがちな人の深層心理を知る必要がある。
すぐに不安になる臆病な人だという指摘は当たらない。
私だって今回のことで外出時にせきをする人を見かけるとかなり不安になった。
ポイントはその不安への対処の仕方にある。
感情を乱されるときだからこそ多様な専門知を元に一連の事態を理性的に判断する必要がある。
感情的な対処をする人は、こういう知的な労力を嫌がっていると思われがちだ。
だがそれは的外れ。
なぜなら今の時代それくらいの情報ならわざわざ新聞を読まなくても楽にネット上で拾えるからだ。
彼らの問題点は、そういう専門知よりも感情的に拡散するデマ情報に目を奪われることにある。
なぜか。
それはこういう危機に対して感情的に行動を取った方が安心できるからだろう。
マスク買いの行列に並ぶ。
子どもの外遊びを禁止する。
マスクをしていない店員をしかりつけるなどなど。
危機にたいしてそういう目に見えて大きな行動を取った方が人は安心できるのだろう。
しかし感情的な危機対応は災いをさらに広げてしまう。
日本政府が全国の学校の臨時休校という強硬手段に出たのも感情論だと読み取れる。
政府はウィルスへの最初の水際対策とクルーズ船への対応で完全につまずいた。
学校休校にはその失態を何としてでも取り戻そうとする政府の熱意が感じられる。
だがそれは明らかに空回りなのである。
コロナウィルスに悩む因果応報の先進諸国
もちろん新型コロナウィルスに対して何もしなくていいわけではない。
通常のインフルエンザ対策は必要だ。
体調が悪いときはできるだけ外出しない、人の多い場所にはいかないこと。
どうしても出る必要があるときには、水筒を持参して定期的に口にする。
私はこういう基本対策を取っているが、少なくともマスクを爆買いするよりはマシなことだと思っている。
コロナ騒動によって日本は今ストレス大国になっているといえる。
今後、さまざまなバッシングが予想される。
中国人観光客が悪い。
大々的な観光政策を取った政府が悪い。
日本人の公共のマナーがなっていない・・・。
だが、コロナ問題の根本には世界の格差問題がある。
コロナ発祥の地は中国武漢にある貧困層のエリア、そこでコウモリやネズミを食べていた人たちがもたらしたといわれている。
中国には古くからそういう食習慣があったそうだが、鶏肉や豚肉を食べられる人がわざわざそんな肉を口にするだろうか。
置き去りにされた貧困層がウィルスを世界にまきちらしたことがコロナ騒動の核心にあるに違いない。
その意味で中国の安い労働力を利用して現在の繁栄を手に入れた日本、および世界の先進諸国がコロナウィルスに悩まされているのは因果応報とも見て取れる。
そんな国に住む1人として、もちろん私にもこのストレスフルな事態に文句を言える資格はないのである。