池江璃花子の病状の回復と今後は?元気な姿の裏側から見えるものは?

人はなぜ、闘病を経た有名人に強い関心を持つのだろうか。

それが死にかけるほどの重病であれば、人をひきつける吸引力はハンパではない。

 

元日本代表のスイマー・池江璃花子が先日、白血病との闘病を経て初めてTV出演を果たした。

松岡修造が進行を務めたこの『報道ステーション』の対談は視聴率14パーセントを記録したようだ。

重病患者の闘病生活とは明らかな非日常の世界である。

 

だからこそそこに嘘のない人間性が暴露される

さらに非日常的な存在ともいえる有名人の告白なので、その発言によって逆に人間性が際立つ。

ああ、こんなにすごい人もやっぱり1人の人間なんだと思わされるのだ。

 

池江璃花子は松岡との対談で、その人間性をいかんなく見せてくれた。

一方で最も聞きたかったことが欠けた物足りなさも残すものだった。

今回はこの貴重なTVインタビューをさまざまな角度で掘り下げたい。

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池江璃花子さん、その元気な姿こそが最大のメッセージ

私はまずTVに映った池江璃花子の見た目に驚かされた。

思っていたほどに変わっていなかったからだ。

顔は少しふっくらとし、腕はかなり細くなっていた。

 

だが話し方や表情など、全体的に見ればわずか1年前に命に関わる大病を患った人とはとても思えない外見だった。

日常生活に支障はないという本人の言葉もすっと受け入れられる。

池江は血液のガンであるリンパ性白血病を患っていた。

 

抗がん剤治療造血幹細胞移植による治療との発表なので、体中のガン化した血液をすべて抜き、血を造る元の細胞から入れ替えたのだろう。

 

それにはとてつもない痛みが伴う。

池江は“二度と経験しないだろう”という言葉でその痛みを表現した。

また“死んだ方がマシだった”とも語った。

この言葉は本当に重い。

 

彼女は何よりオリンピック日本代表候補選手として過酷なトレーニングに励んできた。

そんな19歳の一流アスリートが「この先二度と経験しない痛みだった」と確信をもって言い放ったのだ。

 

対談後のスタジオで松岡修造は、生きていてくれてありがとうという言葉を涙ながらに発した。

それはまさに奇跡と呼ぶに相応しい回復だった。

池江璃花子は、その姿をメディアに見せただけで大きな使命を果たしたハズだ。

それは闘病中の人はもちろん絶望的な状況に陥ったあらゆる人々に希望を与えるものだったといえる。

闘病中の患者は嘘をつく

放映時間15分の対談の中、池江は一度涙を流した。

入院初期、彼女が看病する家族と距離を置いていたことについて松岡から厳しく叱咤されたときだ。

彼女は家族に迷惑をかけたくなかったからだという。

 

一見、それはプライドの高さからくるごう慢のようにみえる。

だが実際それはこころ優しい人格者が重病になったときの最たる特徴である。

 

元キャスター小林麻央もガンとの闘病中、夫で歌舞伎俳優の市川海老蔵に「ごめんなさい」とばかり言っていたと自身で語っていた。

こころ優しい人格者は重病になるとまず自己責任だとして自分を責める

そしてこんな自分のために周囲の人間の人生まで狂わせてはダメだとして自ら距離を取ろうとする。

 

そのために「痛くない」「1人になりたい」あるいは「死にたい」と言ったりする。

こういったことの大半は患者のつく嘘である。

 

最近放映されたTVドラマ『病室で念仏を唱えないでください』第6話でもこの種の患者の嘘がテーマになっていた。

多くの場合、彼らの本音は周囲の人にすがりついてでも生き続けたいという所にある。

 

こういう状況下で最も苦しいのは患者を思う身内だろう。

精一杯支えようと思っている人からそれを拒絶されるからだ。

 

闘病中において、患者の優しさとは皮肉にも深く繋がった身内を傷つけることになる。

だからこそ松岡修造は池江を叱咤したのである。

つらい状況に陥ったとき周囲の人間に頼ることは迷惑でも甘えでもない。

それはその絆を一層深めることにつながる良い行いなのである。

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不運と苦境を乗り越えるためのマインドセット

池江璃花子の言葉には、苦境に陥った人の理想的なマインドセットもはっきり見て取れた。

まずポジティブ思考がある。

彼女は白血病という不運のいい面を見ようとしているのだ。

 

スイマーとして筋肉が落ちたことには、着れなかった服が入るようになった。

1年前にはできていたトレーニングができなくなったことには、できないことがオモシロくて今は逆に楽しめている。

このようなポジ思考を働かせているのだ。

 

詐欺に遭った人にもこういう逆転のポジ思考は使える。

被害額が少なければ、小額で詐欺の大切な予防策を学べたとして良いように捉えることができる。

また長期ビジョンの有効利用もある。

 

池江は寝返りも打てないほどの痛みが続くときにも、これが永遠に続くわけがないと自分に言い聞かせていたという。

どんなに苦しく絶望的な状況でも、それを永遠と較べれば必ずチッポケなものになる。

これはいつか必ず物事は良くなるという楽観主義にも通じている。

 

イギリスの有名な心理学者の本『運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則』でも、ポジ思考・長期ビジョン・楽観性幸運に恵まれる成功者の特徴だと書かれてある。

池江の母は幼児教育のプロでもあり、こういうマインドセットは母譲りのものなのかもしれない。

8年後の目標設定に表れた池江璃花子の進化

対談は一方で物足りないものにもなった。

池江璃花子最も競争率の高い自由形でも世界一を狙える水泳界のスーパースターだった。

 

そのため2019年の世界選手権ではサラ・ショーストレムなどの世界トップ選手が闘病中の池江を応援するコメントを出したりした。

 

今はYouTubeもあるので、日本放映のTVでも彼女たちや世界のファンに対する池江のお礼コメントは必須だったのではないか。

また、CNNやBBCなど世界のニュースショーではビッグ・ゲストとの対談になると必ずハードトークをふくませる。

視聴者が最も聞きたい一方で当人には最もタフな質問をぶつけるのだ。

 

最近アメリカの女子サッカー選手、ミーガン・ラピノーがBBCのトーク番組に出たが、進行はちゃんとレズビアンとしてのカミングアウトについて聞いていた。

 

池江璃花子の場合、それはやはり東京五輪のトレーニングの過酷さが病気の引き金になったのではないかということだ。

 

対談の中、彼女自身、医者からのガンの告知が逆に開放感につながったほど五輪の重圧が自分にかかっていたと発言した。

 

もちろん池江が答えにくいのは分かるし、それが白血病発症の原因だと断定できはしない。

しかしそこに一理あることは確かなのだ。

 

この日本水泳界の大きな喪失を池江個人の健康上の問題として片づけるだけでいいのだろうか。

池江はこの対談の最後に、次の目標はパリ五輪だけど間に合わなければ8年後でも構わないと言った。

 

これには私も救われた。

少なくとも選手として何が悪かったのかを理解しているのである。

池江璃花子は病気の前よりもこの点において最も明白に進化したといえる。

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