最近発表されたジャニーズ・アイドル『嵐』の活動休止について、多くの人はどう思っているのだろう。
「解散しないで!」とか「だから何?」とか「そりゃそうなるだろ」といった反応が予想されるが、多くの人に共通して言えるのは、休止の原因や経緯を知りたいという思いではないだろうか。
嵐は国民的アイドル・グループと呼ばれるが、本当の国民目線で見ると興味のない人が多数派を占めるハズだ。
しかし、その無関心層でさえ、多くは活動の無期限休止について少なからず何かを知りたいと思うものだろう。
前回のSMAPの解散の時もそうだったが、だからこそ大きな国民的話題になったのである。
ではなぜ、人はそこに関心を持つのか。
スキャンダルやゴシップでも、それが大きくなれば社会性を帯びる。つまり、嵐の休止は彼らだけの問題ではなく、私たちも意見を交わすべきものなんだと多くの人が思うようになるのである。
TOKIOのように嵐は4人では活動できないの?といった素朴な話題も交え、ここからは活動休止を発表した嵐について掘り下げ、かつそこで浮かび上がってくる日本社会の問題にも触れてみたい。
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SMAP解散時の苦い反省を生かしたジャニーズの思惑
ご存知の通り、嵐の活動休止のキッカケは、リーダーの大野君が作ったものだ。
約2年前の初夏に初めてメンバーにその意思を明かし、その後はメンバー間の話し合いやジャニーズ事務所との交渉を重ね、2019年の年明け、2020年末で嵐が活動休止に入ることを発表した。
ここで注目すべきは3点。
1解散ではなく期限を決めない活動休止であること
2実質的な活動休止は約2年も先になること
3前回のSMAP解散時の反省をふまえてか、マスコミに先行する形で、メンバーが自発的に発表したということだろう。
大野君は会見で、人間らしく自由に生きたいという思いを語り、それはファンをふくめた多くの共感を呼ぶものになっただろう。
僕のように嵐ファンでなくとも、大野君のアイドルに収まらない個性派ぶりを知る人は多いハズである。
なので国民目線から見ても、彼の意思表明は自然に受け入れられたのではないか。
だからこそ、解散ではないことや休止が2年後ということに、ジャニーズの圧力と強欲ぶりが感じられる。
そこには解散を先延ばしにして期間限定セールス効果をねらう、いわゆる“アムロ商法”が明白に見て取れる。
特に2年後という点には熱烈なファンの間でも、あきれる人がいたのではないか。
一方で、ジャニーズは休止を認めることで、大野君と嵐の意思を尊重したことになる。
だが、それもSMAP解散時の苦い反省があってのことだろう。
無理に解散を抑圧しておけば、メンバーの内部分裂が進み、いずれマスコミにそれがもれて大騒動になる。
それを避けるため、ジャニーズは多くの譲歩をして、自発的な解散会見を演出したのではないか。
会見時におけるメンバーのラフな格好や、気さくな態度にもそれが見て取れた。
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嵐4人編成のありえなさ
大野君が抜けても嵐は続けられないのかと思った人も多くいるだろう。
現に同じジャニーズ・アイドル、TOKIOはメンバーの1人が不祥事で脱退した後でも活動を続けている。
だが、まず嵐の場合、メンバー5人全員がキャラ立ちしている。
SMAPもそうだったが、それぞれに個性が際立っていて、誰か1人抜けても大きな穴になってしまうのだ。
一般的に見て、TOKIOにはそこまで多彩なメンバーが集まっているようには思えない。
1970年、あのビートルズが解散した時も、最初にポールが1人だけ脱退したので、後の3人で出来ないかという声が一部のマスコミから上がった。
だが、この英国4人組も全員がキャラ立ちした上に才能あふれるアーティストだったため、ビートルズファンでもこの声を「ありえない」と笑い飛ばすだけだった。
「大野君が抜けても4人で嵐は」という声は、嵐ファンでなくとも、ありえない選択肢だと分かるものだ。
深読みすると見えてくる、大野君の矢面会見!?
実際、メンバー同士で仲が悪かったんじゃないかという声もあるだろう。
ネット上では、特に櫻井君と松潤が険悪なことや、大野君がメンバー間のギャラ格差に不満を持っていたことなどが上げられている。
だが、どんな仲良しグループでも20年近く一緒になれば、その分、不平不満もたまってくる。
それが熱い友情であればなおさら、年月と共に自然消滅するものだ。
それを考えると、もしかすれば大野君は1人で活動休止の矢面に立ったのではとも思わされる。
アイドルの枠に縛られず自由に生きたいという思いは、実はメンバー全員が共有するものだったのではないか。
大野君はリーダーとして、すべての批判を一身に背負う覚悟で会見に臨んだのかも知れない。
それはジャニーズ事務所にとってもプラスになる。
メンバーの多くが活動に不満を持っているより、リーダー1人が抜けたいと思っている方が、ファンの反発を大きく招くことを防げる。
大野君の1人解散責任には、そういう多くのファンを失うことへのリスクヘッジ効果もあると言えるのだ。
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ジャニーズの束縛が浮かび上がらせる人権問題
嵐の休止発表会見にはわきあいあいとした面もあったが、やはり哀しみが大きかった。
なくならないでという感傷ではなく、SMAPの解散時同様の重たい何かが流れていた。
スーパーアイドルの会見場には、人生の多くを会社に奪われた5人それぞれの姿も見え隠れしていた。
そこに多くの日本人は自らの姿を投影させたのではないだろうか。
嵐やSMAPのような芸能界の頂点に立つ人たちでさえ私生活に自由は許されず、転職によるキャリアマネジメントもできない。
一言で言えば、これは日本社会の元凶の1つ、人権問題である。
あの嵐でさえ自分で解散権を持つことが出来ず、休止においても2年縛りの活動が義務づけられる。
この事実は、途方もない憂うつさを誘う。
しかしSMAPの解散騒ぎと合わせて、嵐の休止発表は日本社会に大きな一石を投じた。
アイドル評論家、中森明夫は嵐の休止について「これは終わりの始まりで、ジャニーズの生態系が崩れた」とコメントした。
日本独自のいびつなアイドル文化を終わらせるための最大の力は、何にあるのか。
それは何よりファンにかかっているだろう。
ジャニーズ・ファンが成熟し、私生活への尊重を含めてアイドルを愛せるようになればいいのだ。
事務所がアイドルに厳しく当たれば不買運動で対抗すればいい。
止めるまでの縛り“アムロ商法”にしても、ファンが爆買いに走らなければ今後なくなるだろう。
一方で、早くも女性週刊誌は『嵐が5年後に復活』という見出しを載せている。
当のメンバーでさえ2年後も想像できないというのに、一体誰がそんなことを決めたのだろう。
人権意識の低いマスコミや企業に対し、「NO」という声をもっと上げてゆかねばならない。
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