アルバイト求人情報サービス「an」が2019年の11月を持って終了するという。
このニュースにほとんどの人は「まぁそうなるだろうな」と思ったのではないか。
もっと率直な人なら「え、anってまだあったの」とビックリするのかもしれない。
「an」の終了は大きく見れば、日本の就労状況が根本的に、そして不可逆的に変わってしまったことを教えてくれる。
このニュースをきっかけにして、現在の日本のおしごと事情について考えてみたい。
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アルバイト情報誌による求職行動の変化
「an」は「日刊アルバイトニュース」として1967年に始まり、52年もの間、日本最古のアルバイト情報雑誌として刊行され続けてきた。
anはアルバイト・ニュースの略語だ。アルバイトという言葉は完全に日本語に定着したが、anはそんなアルバイトの歴史と共に歩んできたサービス事業だといえる。
私が大学生の頃は、「an」と「タウンワーク」くらいしかバイトの情報源がなかった。
コンビニなどで無料で手に入ることからも学生を始めとした若年層世代の生活インフラともいえる大切なものだった。
それが2020年を前に廃業ということで、やはり時代の大きな波を感じてしまう。
今、おそらく若者の中で「an」や「タウンワーク」などのフリーペーパーを頼りにバイト探しをしている人はいないだろう。
「an」の終了の最たる原因には、人の求職行動の変化がある。
今は誰もがスマホやPCのネットサーチでバイトや就職先を探しているのだ。
貧困層でもそれは同じだろう。
10,000円台の格安PCや月々1,500円ほどのADSLサービスがあるご時勢であり、どんな人でもネット環境は整えられるのだ。
「an」は2000年からネットサービスに移行したというが、転換は速くても発想が古かったのだろう。
今ほとんどの人は、「Indeed」や「求人ボックス」といったより優れた検索サービスで仕事を探している。
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アルバイトなどの求人媒体による検索技術の変化
「Indeed」や「求人ボックス」はお仕事版のGoogleである。
仕事に関するネット上のありとあらゆる情報をストレージし、検索者に最適な情報を瞬時にアウトプットすることができる。
私はいくつかの求人サイトで検索欄に「ライター」とだけ入れ、四国の田舎町でガチにお仕事検索してみた。
だが「an」や「タウンワーク」ではそんなアイマイ検索にも関わらず、1つも求人先が出てこなかった。
一方「Indeed」と「求人ボックス」では5ページほどに渡って多種多様なライター業務が表示された。
中にはドンキホーテで展示商品にユニークなポップアップ記事を書くような仕事まで出てきた。
よくそんな細かいライター業まで見つけられたなと感心するばかりである。
ライターと入れただけで、ここまで幅広く、そして核心を外していない求人先が出てくるとは本当にオドロキである。
この検索機能1つを取ってみても、「an」の終了が納得できる。
しかも「Indeed」や「求人ボックス」は求人情報を載せる企業にも優しい。
優先的な表示には課金が必要だが、基本どちらも掲載料はタダである。
クリック先の広告収入を事業収益に当てているからだ。
一方「タウンワーク」では四国でさえ掲載料が10,000もかかり、掲載期間は明記されていない。
「Indeed」と「タウンワーク」は対照的ながら、同じリクルート社が持っている。
新旧のビジネスモデルを併用する上手い戦略である。
もちろんリクルートが「Indeed」のような優れた検索技術を開発したわけではない。
ただ、アメリカの同社を買収したのだ。
リクルートにしてもマイナビにしても、テレビCMを見ただけで大もうけしているのが分かる。
有名な芸能人をバンバン使ったり、村田諒太の世界タイトルマッチのような注目番組のメイン・スポンサーになったりしている。
ただ大勢の人につながるチャンネルを持ってるだけで、1円も実益を生まない企業が産業構造のトップに君臨する。
GAFAもそうなのだが、こういったことは今の世界の歪みを象徴している。
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ノマド・ワーカーが変えてゆく日本のおしごと事情
「Indeed」は「an」の時代とは比較にならないほど優れた検索技術を持っている。
しかし、その検索のさいの憂うつの度合いはほとんど変わらない。
私は今回検索してみて、学生時代のバイト探しの憂うつさが今もはっきりと生きていることを実感した。
今も昔も最低賃金のバイト先のブラックぶりは変わらないからだ。
それでも若い頃の私は働くしかなかった。
しかし今はネットがあり、若者たちはそこで賢く稼ぐことができる。
日本でも今やクラウドソーシングが定着し、PC1つあればどこででも仕事ができるようになった。
私もその1つのクラウド・ワークスで仕事を続けている。
一般の会社員にもテレワークが求められるようになった。
大企業でもどんどん実在するオフィスがいらなくなってきているのだ。
今日のニュースでは、ノートPCの出荷台数が久しぶりに前年度を超えたとも報じられた。
今後ますますPC1つ抱えてあちこちで仕事をするノマド・ワーカーが増えてゆくことだろう。
ハードな職種で深刻な人手不足が続く中、「Indeed」や「求人ボックス」といえど先行きは見えない。
それらの利用者は今後、外国人労働者や新たな知恵を持とうとしない情報弱者たちに絞られてゆくのではないか。
このように「an」の終了は多くのことを物語っている。
ただ現時点では、バイトの求人検索はまだ時代に生きている。
私の目に先のドンキホーテのポップアップ・ライターはとても魅力的に見えた。
週一勤務OK、交通費は月に2万円上限、時給850円。
年齢制限がないことを祈りつつ、この後、メールで問い合わせてみるつもりだ。
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