モンキー・パンチの功績とアニメ界への影響は?本名と経歴や今後は?
ルパン三世』の原作者として知られる

モンキー・パンチ(本名、加藤和彦)さんが、

先日、81歳で亡くなられた。

 

肺炎をわずらわせての病死だった。

 

このニュースが飛び込んできたとき、

私はモンキー・パンチが日本人だったことを初めて知った。

 

もっと言えば、実在していたんだという驚きさえあった。

 

私は団塊ジュニア世代であり、

ルパン三世』のTVアニメや映画を

普通に楽しんできた大勢の日本人の中の1人である。

 

それでも、こうして亡くなられるまで、

原作者について興味がわいたことはなかった。

 

 

ルパン三世』はもはや国民的な人気アニメである。

 

だがその反面、

モンキー・パンチがメディアの前に

出てくることはほとんどなかったと言える。

 

メディア嫌いとして知られる小説家、

村上春樹でも、海外メディアにはたまに顔を出している。

 

モンキー・パンチ以上に

姿の見えない有名作家とは、

他に誰かいるだろうか。

 

死去の報道に伴い、

モンキー・パンチが大学の芸術学部の教授、

故郷、北海道の専門学校の顧問、

 

町おこしのための復興活動といったことに取り組んでいたことが大々的に報じられた。

 

だが、そういったことを知っていた人は、

ルパンのファンの中でも少数派ではないだろうか。

 

おそらくモンキー・パンチは、

原作者として秘密主義、

または匿名性を貫いていたのではないか。

 

そこには彼自身がルパン三世に

相当ほれこんでいた姿が見え隠れしている。

 

死去を機に、

モンキー・パンチが生み出した

ルパン三世』の功績について探ってゆきたい。

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モンキー・パンチという何気ないペンネームがその後の運命に!?

モンキー・パンチの功績とアニメ界への影響は?本名と経歴や今後は?1
モンキー・パンチこと加藤一彦は、

北海道の東部、厚岸郡の浜中町で生まれる。

 

田舎での小学校時代、

『シャーロック・ホームズ』シリーズや

『西遊記』などの本に親しむ中、

 

アルセーヌ・ルパン』シリーズにも夢中になり、

のちにそこからルパン三世の着想を得ることになる。

 

上京した後、

マンガの同人誌を出すと、

双葉社編集長の清水文人の目に止まりスカウトされる。

 

こういった経緯を見ると、

奥山玲子さんを思い出す。

 

現在放送中のNHKの朝ドラ『なつぞら』で

ヒロインのモデルとなった実在の女性であり

彼女は北海道から上京して、

東京でアニメーターになった。

 

年代もちょうどモンキー・パンチと同じくらいである。

 

そう言えば、

ドラマの中、藤木直人演じるヒロインなつの父は、

自身の妻のことを「フジコちゃん」と呼んでいる。

 

ただの偶然だろうが、

あるいはモンキー・パンチへのオマージュがあるのかも知れない。

 

それはともかく、

モンキー・パンチというペンネームは、

清水文人がつけたものだ。

 

当時、モンキー・パンチは

アメリカのマンガ雑誌『MAD』に

影響され始めたばかりで、

ルパンの西洋的な画風もそこから来ている。

 

 

命名理由は定かではないが、

清水は正体不明の外国人が書いたように見せたくてそう名づけたのではないかと言われている。

 

であれば、この清水の何気ないチョイスが、

その後のモンキー・パンチの運命を決めたとも言えるのではないだろうか。

 

ここに彼が生涯貫いたであろう匿名性の原点があるのではないか。

 

この不思議な名前によって、

ルパンのTVアニメ視聴者の多くは、

原作者を遠く感じるようになった。

 

ルパンは外国人だし、

世界中を飛び回る話でもある。

 

なので、原作者は外国人であり、

外国のマンガか小説を元にして日本人のアニメーターが作り変えているのではないか。

 

おそらく、多くの子どもたちは

ルパンに親しみを感じながら、

原作者にはぼんやりとそんな距離感を取っていただろう。

 

私はまさにそんな1人であり、

だからこそ死去のニュースに驚かされたのだ。

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キャラ・メーカーという特異な立ち位置

モンキー・パンチの功績とアニメ界への影響は?本名と経歴や今後は?2
ルパン三世』には

モンキー・パンチによる原作マンガがある。

 

漫画アクション』という雑誌に、

1967年から1969年の2年足らずの間、

94話の連載マンガが掲載された。

 

これも中々知られていないことだろう。

 

2年後、1971年にTVアニメ化され、

再放送で人気に火がついた

 

1シリーズ目の監督には

のちにルパンの映画『カリオストロの城』を監督する宮崎駿もふくまれていた。

 

ここで特筆すべきは、

モンキー・パンチがほぼすべてのアニメ作品にまったく関わっていないということである。

 

1971年から2018年までリレーされた

5回のアニメ・シリーズで、

彼が監督したことはない。

 

映画では1つだけ1996年、

映画第6作に当たる『Dead or Alive』で監督を務めている。

 

だが、今もネット評で叩かれている通り、

いい出来ではなかった

 

それによって彼はさらに匿名性に

固執するようになったのではないだろうか。

 

その立ち位置から、

モンキー・パンチは漫画家というより

キャラクター・メーカーと言えるだろう。

 

ルパン、次元、五右衛門、フジコ、銭形。

 

この5人を造りだした作家であり、

それを元にして宮崎駿を始めとした

数多くのアニメーターたちが長い歳月の中で無数のストーリーを築き上げてきたのだ。

 

他に較べられる漫画家は

うる星やつら』の高橋留美子くらいだろう。

 

だが『うる星やつら』は21世紀を乗り越えることができなかった。

 

ルパン三世』は原作から50年以上たった

2018年にもTVシリーズ化されている。

 

それは驚くべきことである。

世の中の価値観をひっくり返すルパンの正義感

モンキー・パンチの功績とアニメ界への影響は?本名と経歴や今後は?3
ルパン三世』の魅力とは、

銭形警部に象徴されているように思われる。

 

ルパンの最高傑作といえば、

やはり宮崎駿が監督した『カリオストロの城』だろう。

 

映画の中、

ルパンは横暴極まるヨーロッパの貴族に戦いを挑む。

 

カリオストロの王は、

年若いお姫さまを連れ去って

政略結婚を企てたり、

 

偽札作りで巨万の富を得たりしており、

世界中の政財界を味方につけてもいる。

 

ルパンは女好きでオモシロくて享楽的であり、多くの人に愛されるキャラだ。

 

一方で、泥棒であり、

私利私欲を満たす悪党でもある。

 

それでも彼がなぜこうも愛されるのか。

 

それはおそらく強い正義感がその根っこに見えるからではないか。

 

カリオストロの王とは特権階級であり、

リアルな世界の象徴でもある。

 

しかし、それが正しい世界というのなら、

むしろ悪党になって引っ掻き回した方が世の中のためになるんじゃないか。

 

ルパンを通して、

多くの人はそういう価値観の転倒を

無意識に感じているのではないか。

 

だからこそ、

ルパンがカリオストロ王のような

特権階級を倒すと、大いなるカタルシスを感じるのである。

 

映画のラスト、

銭形警部はお姫さま相手に、

例の有名なセリフを言う。

 

ルパンはあなたの心を盗みました

 

しかし実際、

ルパンに心を盗まれているのは銭形自身に違いない。

 

泥棒なのでルパンを捕まえるべきだ。

 

しかし根はいいやつなんで、

そうはしたくない。

 

銭形のこの葛藤はそのまま、

ルパンを愛する無数の人たちの心の内を代弁するものでもある。

 

そして、原作者のモンキー・パンチ自身も、

ルパンに心を盗まれているのではないか。

 

彼はメディアの前に出ず匿名性を貫くことでルパンという人物を尊重していたのではないだろうか。

 

ルパン三世は今後も、

メディアミックスとしてさまざまな形で

私たちの前に出てくるだろう。

 

世の中に特権階級がある限り、

ルパンの悪行はいつまでも終わらない。

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