「漫画村が復活」というワードがTwitterで大きく浮上し、実際にそれらしいサイトが出てきたことで、世間が少しざわつくようになった。
漫画村とは、日本の漫画、小説、雑誌などを、著作側に無許可で無料配信していた海賊版サイトである。
2018年のピーク時には月間利用者数が1億人近くになり、漫画村による被害合計額が3000億円だと推定された。
そこで日本政府が動き、強引な手段で漫画村の運営を止めた。
それが2018年4月のことであり、それから1年余りたった今、漫画村が復活の兆しを見せているようだ。
だが、果たして漫画村は国をあげて叩くほどの悪質なものなのだろうか。
一方、なぜ著作側や政府は執拗にネガティブキャンペーンを行っているのか。
また、なぜ著作側にいない一般市民も自発的にその流れに乗っているのだろうか。
この問題を、基本は漫画村に肯定的な立場から、深く掘り下げたい。
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漫画村が、むしろ日本の漫画市場を拡大させた可能性もある
日本政府は、漫画村による出版社への被害総額が3,000億円だと発表した。
だが、それがただの機械的な損益計算に過ぎないことは容易に想像できる。
そもそも漫画村のユーザーの多くは、漫画ファンではない。
「タダだったら読みたいな」
「できればタダで読みたいな」
この2パターンがほとんどだろう。
本当の漫画ファンは貧乏でもお金を払うだろう。
愛情には対価の意識が自然と働くもの、いいものには人間誰しもお金を払いたくなるものだ。
つまり、漫画村のユーザーはそもそも漫画市場の外にいる人たちなのだ。
そのため彼らを取りこぼしても市場規模が小さくなることはない。
海外のユーザーでも、無料だからこそ漫画村に集まっているのだ。
出版科学研究所のデータを見れば、日本の漫画市場がこの数年、4千億円前後でずっと維持されていることが見て取れる。
最近は電子漫画の売り上げが伸びたことで、市場がにわかに大きくなってもいる。
一体、どこに漫画村の悪影響があるというのか。
この結果は、むしろ漫画村によって新たな漫画ユーザー層がグローバルに増えていることを示しているようだ。
中国人や韓国人の方が、日本人よりデジタル書籍に慣れ親しんでいる。
電子漫画の売り上げ増には、漫画村が海外ユーザーを掘り起こしたことが影響しているのではないだろうか。
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漫画業界が繁栄している限り、存在し続ける海賊版サイト
もちろん、著作権侵害自体は悪い行いであり、犯罪でもある。
だが、漫画村によって、漫画家や出版社の収入が激減し、業界が危機に陥るようなことはありえない。
そもそも漫画村にアップされるものは、大半が累計100万部以上の大ヒットマンガである。
最近、映画公開もされた漫画『キングダム』などはシリーズ累計3,000万部を超えている。
この売り上げだけでざっと100億円もうけている。
そのため、漫画村が利益を盗んでいるという著作側の訴えは、市民目線で言えば、バカみたいにもうけている人がその取りこぼしがあるといって騒いでいるだけにしか見えない。
それは富裕層のボヤキに過ぎない。
一方で、漫画村の運営は、北朝鮮や中国のような独裁国家、またマフィアやギャングによるもので、その資金源になることが問題だという指摘もある。
だが、これもファクトのないフェイクニュースに近いものだ。
確かに、不正広告が多いことから、そういう闇の組織が絡んでいる可能性が考えられる。
だが、こういうダークサイドは繁栄した市場には自然とついてくるものだ。
オレオレ詐欺グループの多くは銀行や保険会社の人間を装っている。
それらがある限り、彼らは手を変え品を変え延々と現れ続けるだろう。
漫画村にしても同じであり、最近の復活もごく自然なことである。
国をあげて叩くのは、国会の時間や税金のムダ使いだと言える。
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立法準備という言い訳で、憲法違反の政策を押し通した政府
漫画村に対する日本政府の対応は、独裁国家の弾圧に近いものだった。
サイト・ブロッキングで一般人がネット利用すること自体を不可能にしたのだが、それは憲法に違反する。
民主国家の市民は、通信の秘密が認められている。
これは根本的に政府による管理や監視から自由な市民ネットワークを認めるものであり、基本的な人権の根幹に関わっている。
部分的にせよ、個人のネット接続を制限する政府のブロックは、ここに明らかに違反する。
2018年、政府はサイト・ブロッキングするに当たって、何も法律を作っていない。
あくまで法制度整備のための臨時措置だと発表したが、言い訳にすらなっていない。
通信の秘密が立ちはだかって立法できないことが分かっているので、立法準備を建前にして先走っただけだ。
このやり方を応用すれば、どんな憲法違反のことでも政府はやりたい放題になる。
自衛隊を外国の戦争に派遣することでさえ、法律なしでゴーサインが出せてしまうのだ。
漫画村を運営停止にした後、警察や出版社がサイトを刑事告訴したが、その後に何か進展はあったのだろうか。
日本の法律が通用しない他国の人間が運営するサイトを、一体どう裁こうというのか。
それはただ政府の対応が正しかったとアピールしたいがための空提訴に過ぎない。
憲法が紙切れに過ぎず、ときの政権やそのトップの私利私欲で国が動くのが独裁国家である。
漫画村という海賊版サイトの運営は、中国が主導しているというのが大方の見方だ。
日本はそれを取り締まるために、独裁国家の1つである中国と同等の国になりさがったと言える。
漫画村への政府のサイト・ブロッキングには、多くの人が思っている以上に深い闇があるのだ。
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著作権天国の根本にある権威主義
海外から見れば、日本は著作権天国だとよく言われる。
お金を出してライブに行ったのに会場で写真撮影が禁止されていることなど、当たり前のようにある。
来年の東京オリンピックでも、TV局の放映権益に配慮して、観戦者は写真撮影できないことが決まったばかりだ。
これは漫画村への政府の弾圧にも通じる。
当時、漫画村を叩くことで、どこかの誰かが大もうけしようとしているとはよく言われたことだ。
だが、実際は誰ももうかることなどない。
じゃあなぜ、国を挙げての弾圧が起こったのか。
それは日本が権威主義の国だからである。
著作側とは、表現行為や情報発信などで、一般社会の上に立って文化を広めているものたちだ。
この権威主義的な認識から、一般人は著作の恩恵を受ければ、必ず対価を支払わねばならないという固定観念が生まれる。
一方で、フランスやアメリカなど個人主義の国では、著作側と市民側はイーブンな関係であり、だからこそGoogleやYouTubeのような無料サービスの文化がブレークしたのだ。
漫画村への弾圧において、最も異様なのは多くの市民も著作側の味方をしたことだ。
権威主義下においては、市民たちがそれをアピールすれば、弱者である彼らも強者になったかのように思えるものだ。
彼らが意気揚々と漫画村やその利用者を叩き続けたのは、まさにその虚栄のためだったのだ。
本当に強い者は、権威の間違った押し付けに抗い、別の答えを訴えるものである。
漫画村に似たサイトが、運営停止から1年余りの今、どんどん誕生している。
良くも悪くも、漫画がある限り、海賊版はずっとあり続けるだろう。
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