2020年4月2日、ウイルスの世界感染者数がついに100万人を突破した。
そんな中、日本では『緊急事態宣言』が日増しに注目を集めるようになっている。
世論は“出るの出ないの?”から“いつ出るの?”へ。
4月を過ぎてからは“なぜ出さないの?”に変わってきた。
東京では一日ごとに100人規模で新たな感染者が発表され、欧米の先進諸国はとっくに緊急事態宣言を出している。
それなのになぜ政府は出さないのか。
実際に出せばその具体的な効果や庶民生活への影響はどのようなものになるのだろうか。
そのような疑問や最近ニュースでも扱い始めた社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)を焦点にしながら、今後の日本を気ままに読み解いてゆきたい。
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首相が私権を盾に緊急事態宣言を避けることの矛盾
今日4月3日の参院本会議で、安倍首相は緊急事態宣言について瀬戸際の状態だが今はまだ必要ではないと語った。
もうこのセリフを一週間以上言い続けている。
日本医師会は約2週間前から政府に同宣言を出すよう要望書を出した。
東京での感染者数の急激な増加から世論もそれを後押しし始めた。
緊急事態宣言を出す上での必須条件は2つ
国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあること。
全国的かつ急速なまん延により国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあることだ。
確かに現段階ではここまで達していない。
だが多くの識者はこういう事態に陥る前に出すのが緊急事態宣言であり、日本が2~3週間後にこうなる可能性は高いと指摘している。
安倍首相は宣言を出せとの批判に毎回、民主主義を盾にしてかわしている。
いわく「私権を制限し得るため専門家の意見を十分聞いて判断する必要がある」である。
だが日本の場合、緊急事態宣言には罰則・強制力が伴っていない。
橋本徹・元大阪市長は多くのTV番組の中、この点を強く訴えている。
宣言が出されても私権は実質的に失われないのだ。
それでも自民党が拒み続ける理由とは一体何なのだろうか。
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緊急事態宣言を決められない安倍自民の背後に潜む経団連
飽くまで私の考えだが、政府が緊急事態宣言を避けるのは経団連の圧力があってのことではないか。
経団連・日本経済団体連合会は財界の総本山と呼ばれ、日本の経済三団体のトップにある。
その3つの内の1つ経済同友会の櫻田代表幹事はすでに緊急事態宣言を出すべきだと公言している。
だが、肝心の経団連はコロナ不況に対する概観を出すだけに留めている。
自民党は55年体制の大昔から経済的な成果に支えられて選挙を勝ち抜いてきた。
そのため大企業経営者たちが集う経団連には頭が上がらない。
今に至るまで総理大臣は経団連の犬だという陰口もささやかれているほどだ。
日本では政治リーダーよりも財界の方が国を動かす大きな力を持っていると言っても過言ではない。
一方、欧米の先進諸国のほとんどは政治力が圧倒的に強いため緊急事態宣言もすぐに出すことができた。
経団連が緊急事態宣言に反対しているとすれば、その理由は株価の大暴落を防ぐためということになるだろう。
同宣言が出されれば外国の資産家の抱く日本経済へのイメージがさらに悪くなる。
経団連はキャノンやトヨタなど多国籍企業のトップが占める組織であり、外国資本が一気に逃げてゆけばかなり痛い。
もし経団連の圧力が緊急事態宣言の歯止めになっているのであれば、自民党は国民の命よりも大企業の営利を取っていることになる。
そうではないことをただ祈るだけだ。
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政府は緊急事態宣言による経済的な補償リスクを負いたくない!?
現在、野党4党が訴えているよう、緊急事態宣言は補償とセットにして出す必要がある。
政府はただ国民に自粛指示を出すだけではなく、それによって生じる経済的な損失をカバーしなければならない。
政府が一方的な命令を出し国民がただそれに従うだけなら、戦時中の大日本帝国時代に逆戻りすることになる。
民主国家には国民の命や生活を守る義務があるのだ。
自民党が緊急事態宣言を出し渋っている理由はここにもありそうだ。
宣言を出せば法的な要請になるので補償義務もそれだけ強くなる。
自民党としては法律抜きの要請で国民が受動的に従っている今の方が、補償リスクがないぶん美味しいわけだ。
ただ今後も日に数百人単位で感染者数が増え続ければ、そうも言っていられない。
そのとき政府はあらゆる利害を断ち切ってでも緊急事態を宣言せざるを得なくなるだろう。
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緊急事態宣言によって社会的距離が及ぼす心理的な影響
実際に緊急事態宣言が出れば、私たちの暮らしはどうなるのだろう。
ニュース報道にもあるよう、罰則がないために具体的なことよりも心理的な影響の方が大きくなるはずだ。
特に日本は忖度の国なので、自粛要請が法律になれば一気に流れが変わるだろう。
東京や大阪のような都市部ほど個人の外出自粛は大きく減るに違いない。
パリやニューヨークのように厳罰がなくても日本では街中がガラガラになることは充分起こりうるのだ。
そうなれば日本でも今世界で広く知れ渡っている社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)がより実感できるようになるだろう。
社会的距離とは病人の隔離や外国人の入国制限もふくむ人と人との距離のこと。
一般的には健常者同士でも常に一定の距離を保っていることだ。
日本でも最近はTVのニュースや情報番組の出演者たちが距離を置くようになってきた。
緊急事態宣言が出されれば、一般の人たちも普通の生活の中で他人と意識的に距離を取りだすだろう。
緊急事態宣言による影響で愛なき世界でこころはすさむ…
緊急事態宣言とウイルスは共に目に見えること以上の害をもたらす可能性がある。
それは人の心に及ぼす悪影響である。
社会的距離が1年・2年と続けばそれは一時的な規則から新たな普通になるかもしれない。
ただでさえ孤立化が進む現代社会に拍車がかかることになる。
そうなれば愛することさえ異常なことになりかねない。
恋愛がタブーになり少子化対策で人工授精が推奨されることも起こりうる。
恋愛ドラマでキスシーンがあるだけでTV局に苦情がゆくかもしれない。
いずれにせよ社会的距離が新たな普通・常識になれば、確実に人の心はすさんでゆくだろう。
まるでSFドラマの設定のようだが、今それを笑い飛ばせない現実がある。
緊急事態宣言は明日発令されてもおかしくはない。
その先のことはまだ誰もはっきりとつかむことはできない。
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