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バンクシーが香川県に?高松にネズミのイラストが?絵は本物なの?

バンクシーが香川県に?高松にネズミのイラストが?絵は本物なの?

世界的なアーティスト、

バンクシーの描いたネズミ

 

東京で発見されたというニュースは

多くの人が知るところだろう。

 

しかし、それとほとんど同じネズミが

香川県でも見つかったことを

知っている人は、全国的に見て中々いないのではないか。

 

1県民の私でさえネット・ニュースがなければ知らなかっただろう。

 

 

まだ鑑定中だが、

東京のネズミはバンクシーの真作だという線でほぼ固まっている。

 

では、香川県のネズミは本物なのだろうか。

 

そしてそもそもバンクシーは、

なぜこのようなネズミたちを

世界中の街で落書きし続けているのか。

 

ここではそれをさまざまな角度から考えてゆきたい。

 

また、私自身、その現場、

高松港にあるスケート・パークに足を運んで、

この目で見てきた。

 

そのレポートも合わせて書きたい。

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バンクシーとネズミとブルーハーツ

バンクシーが香川県に?高松にネズミのイラストが?絵は本物なの?2

まず、バンクシーについて見てゆこう。

 

正体不明のグラフィティ・アーティスト

 

世界中の街角で公共物に落書きをするのがメインの活動

 

過去、美術館に侵入して勝手に自分の作品を飾り、

 

のちにSNSで犯行声明を出していたことから、芸術テロリストの異名も持つ。

 

平和の祈りを込めたパレスチナの壁絵が最も有名な作品の1つ

 

 

日本では、2018年、

サザビーズのオークション会場で

 

落札と同時に絵がシュレッダーにかけられた事件で、バンクシーの名前が一気に知れ渡った。

 

そんなバンクシーがシリーズものとして

用いているモチーフの1つがネズミ

 

Rat Stencil」だ。

 

ちなみにオークションで切り刻まれた絵

 

風船と少女

 

も彼のシリーズものの1つである。

 

バンクシーのネズミには数多くのバリエーションがある。

 

電動ドリルを持っていたり、

パラシュート降下していたり、

ライフル銃を構えていたり、

 

実にさまざまなネズミたちが世界中の街角に落書きされている。

 

そんなネズミにはどんな意味があるのだろう。

 

根本的にそれはバンクシーの化身である。

 

またグラフィティ・アーティスト、

社会的マイノリティ、

戦争難民とさまざまなメタファーにもなりうる。

ネズミたちはペットのように

飼いならされておらず、

街の地下で野生のままに生きている。

 

そして社会から害獣として阻害される

ことから、独自の地下コミュニティを持っている。

 

また悪さをするのは決まって夜である。

これはまさにバンクシーのような落書きアーティストにも当てはまる。

 

そして彼はネズミという自己認識に、

根本的には誇りを持っていることだろう。

 

なぜなら、ネズミは人類滅亡後にも

生き残るタフさや狡猾さを持っているからだ

 

バンクシーの絵には、

こういう虐げられた弱者こそ

 

この世の主役なんだというメッセージが共通しているのではないか。

 

だからこそ、彼はこのネズミたちを

日々せっせと世界中の街角で描き続けているのだろう。

 

一方、ロックバンド、

ブルーハーツの名曲『リンダリンダ』では、

 

甲本ヒロトもドブネズミをパンクロッカーの比ゆとして使っている。

 

ドブネズミのように美しくなりたい

 

というメッセージは、バンクシーの感性に通じている。

他にもおすすめの記事がありますので、ぜひこちらも読んでみてください。

バンクシーのネズミに会いに高松港へ

バンクシーが香川県に?高松にネズミのイラストが?絵は本物なの?3

私が1人、高松市にあるバンクシーの

ネズミを見に行ったのは、ある水曜日の午後3時過ぎのこと。

 

まだ寒さの残る2月半ばであり、

さらに高松港を目の前にしたその港湾エリアには強風が吹き荒れていた。

 

だが、私の先を歩いていた3人組の若い女の子たちが、

 

さっそく現場であるスケートパークに入って行った。

 

そこは高松のランドマーク、

サンポート高松の一角にある

スケボーやローラースケートなどが楽しめる無料の公共施設だった。

 

すぐ近くには空高くそびえたつシンボルタワーがあって、ひときわ目立つ。

 

パークはかなり寂れた感じだった。

 

女の子たちはお目当てのネズミを撮ってさっさと出て行った。

 

パークの外からそれを見ていた私はホっとした。

 

もしかすれば東京のように自治体が

撤去しているのではと心配していたからだ。

 

ネズミは2匹いた。

 

スケートのスロープと

真四角の台の壁面に並行するように描かれていた。

 

すごく小さかった。

 

私もしばらく色々とカメラ撮影をしていると、3人組の男が現れた。

 

1人は県職員のようなジャージ姿、

1人は会社員風のスーツ姿、

そしてもう1人は背の高い外国人だった。

 

日本語を話していたが

白人かハーフに違いなかった。

 

これはもしかしてネズミの真贋を検証するためにやって来たのか

 

が、3人は少しだけネズミを見ると、

さっさと立ち去っていった。

 

私は寂れたパークの中で

20分ほどブラブラしていたが、

計10人ほどの来訪者がいた。

 

真冬の平日、

強風の港湾エリアということを考えれば、結構な数である。

 

どうやら、ここ香川県では

このバンクシーのネズミはすっかり有名人になっているようだった。

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東京と高松のネズミ、4つの共通点はただの偶然!?

バンクシーが香川県に?高松にネズミのイラストが?絵は本物なの?4

<左は東京、右が高松のバンクシーのネズミ>

 

高松のネズミはバンクシーの真作なのか

 

それについて私なりに推測したい。

 

高松のネズミと東京のネズミには、

4つの共通点がある

 

まず、上の写真にある通り、

その絵柄はほとんど同じだ。

 

明白に違うのは頭部の白模様

背中の毛並みだけだ。

 

しかし、

それも後で誰かが黒く描き足したか、

経年劣化したかくらいの違いでしかない。

 

バンクシーはまず

ステンシル(型板)を造り、

 

それを公共の壁などに貼ってスプレーを噴射するという落書き手法を取っている。

 

なので、東京のネズミが本物であるなら、

高松のものも同じ型板で描いた可能性がある

 

2つ目は東京と高松のネズミはどちらも10年以上前に描かれたという点。

 

3つ目は、どちらも海を目の前にした港湾エリアに描かれている点

 

4つ目はどちらも正規のバンクシーのネズミと反転して描かれている点だ。

 

東京と高松、この4つの偶然の一致はただの偶然だと無視できるものだろうか。

 

世界的に見て、

バンクシーの知名度は

パレスチナの壁絵が描かれた2005年頃に高まった

 

一方で、日本では2018年まで一般的に無名のアーティストだった。

 

 

高松のネズミは10年以上前、

2008年に描かれたことが県の調査で確認されている。

 

そんな昔に、四国の地方街で

バンクシーを真似てネズミを描く人が果たしていたのだろうか。

 

ただ、スケートパークに描かれている点が引っかかる。

 

そこには他にも多くの落書きがあり、

小さなバンクシーのネズミよりも見栄えの良いものもあった。

 

スケートパークとはグラフィティの聖地のようなものだ。

 

なので10年以上前でも、

高松のスケート仲間たちの間では

バンクシーのネズミは有名であり、

誰かがそれのマネをした可能性もある。

 

また、東京のネズミが真作だったというバイアスもある。

 

そういう目で見るので、

高松にあったマネ落書きが本物のように見えるということもあるのだ。

バンクシー、10年前に直島旅行へ!?

バンクシーが香川県に?高松にネズミのイラストが?絵は本物なの?5

10年以上前、バンクシーは日本で

Tシャツのデザイン制作に関わっていたことがある

 

その際、東京の日ノ出駅近くの防潮堤にネズミを描いた。

 

ここまではほぼ間違いがない。

 

ここから私の想像が始まる。

 

次にバンクシーは羽田で飛行機に乗り高松空港に降りる。

 

そこからリムジンバスで高松港まで行く。

 

なぜか。直島観光のためである。

 

10年以上前でも直島はアートの島として国際的な知名度があった。

 

安藤忠雄の地中美術館に

草間彌生のかぼちゃオブジェと、

世界的な建築家やアーティストが数多く島の活性化に携わっていた。

 

バンクシーは高松港から

フェリーに乗る前に、

スケートパークに立ち寄った。

 

実際、直島行きのフェリーターミナルは、

パークの目の前にあるのだ。

 

そこで落書きを見るにつれ情熱がわきあがり、彼はネズミを2匹追加した。

 

もちろんこれは妄想である。

ただ、瀬戸の島々が、

多くの日本人が思っているよりも、

 

世界的に知られたアート景勝地であることは確かなことだ

 

ニューヨークタイムズ電子版は2019年に

訪れるべき観光地として、

日本で唯一、「瀬戸の島々」を紹介した。

 

全体でも7位だった。

 

2019年は3年に1度の「瀬戸内国際芸術祭」があり、それもあっての選考だった。

 

また、愛媛県の橋を渡る

 

しまなみロード

 

は今や世界的にも有名なサイクリストの聖地になっている。

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バンクシーのネズミより素晴らしいもの

バンクシーが香川県に?高松にネズミのイラストが?絵は本物なの?6

などという四国自慢はさておき、

高松港にバンクシーのネズミがあっても、

 

そうおかしくない土地柄だということは分かってもらえたかと思う。

 

2019年、芸術祭の多くの観光客たちは、

高松港のスケートパークに立ち寄ってこのネズミを撮ってゆくことだろう。

 

もし真作だと判明すれば

自治体が撤去しかねないので、

 

私は贋作であった方がいいとも思っている。

 

しかし、高松港には

バンクシーの小さなネズミよりも遥かに素晴らしいものがある。

 

それは瀬戸内海だ。

 

スケートパークを出た後、

私は1人、自転車に乗り、

港の突端にある赤灯台までゆき、

 

その夕景を存分に味わった。

 

バンクシーのネズミ目当てで来た方にもぜひ、目の前にある奇跡のような光景に気づいて欲しい