2020年東京オリンピックの一般向け競技チケットの販売が一段落したところで、富裕層向けの販売が始まった。
複数の競技がVIP待遇で見れるセット販売の最高額は、何と600万円を越える。
このことについて知っている人はなかなかいないだろう。
ニュースなどのマスコミがほとんど報じていないからだ。
一方オリンピックの公式サイトでは、その富裕層向けチケットのことを「ホスピタリティパッケージ」と呼んでいる。
お金持ち限定のサービスなのに、なぜホスピタリティという言葉が使われるのだろうか。
どうも政府はマスコミを抱き込んで五輪を巡る富裕層ビジネスをできるだけ隠そうとしているようだ。
今回はこのことについて深く見てゆきたい。
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東京オリンピックの富裕層チケットの中身
富裕層向けのチケットのセット販売の内容は、オリンピックの公式サイトで公開されている。
PDFをダウンロードすることもできる。
「公式ホスピタリティパッケージ価格表」というタイトルだが、それだけでは何のことだかさっぱり分からない。
だが1ページ目には堂々と最も高額なセット価格・6,350,000円が記されている。
開会式と閉会式、その間の陸上競技がほぼ毎日見れるものであり、VIP席で見れることはもちろん料理や送迎などのサービスもついてのことだろう。
次が閉会式抜きの500万円台コース、そして開会式と閉会式がセットになった競技観戦の少なめの400万円台コースが続く。
開会式と閉会式だけなら180万円であり、陸上競技チケット9日分は4,550,000円になる。
チケット価格の高い順に競技をあげると、
(チケットの値段)高め
陸上
↑
バスケ
↑
野球
↑
水泳
↑
体操
↑
柔道
(チケットの値段)安め
といった具合になる。
陸上とバスケが高額なのは、世界的な人気があるからだろう。
あとはそのまま日本のメダル獲得が期待される競技ばかりだ。
つまりこの価格体系には世界と日本、どちらの富裕層にもアピールする狙いがある。
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オリンピックは政府をあげた偽善のおもてなしサービス
価格の高さも驚きだが、最も引っかかるのはやはり「ホスピタリティパッケージ」と名づけられていることだ。
ホスピタリティとは日本語でいう「おもてなし」のことであり、外国人や万人への歓迎の意を示すものだ。
一方で確かにそれには「優遇する」という意味もある。
だが、一般的にホスピタリティとは博愛のイメージが強く、どんな人にもウエルカムの精神で接することである。
それを富裕層ビジネスに使うことは、偽善に他ならない。
富裕層というごく少数の人を優遇するビジネスをしておきながら、それをおもてなしという美辞麗句でごまかしているようなものだ。
なぜ政府はそんな偽善をこそこそしているのか。
それはオリンピック精神の根本に反するからだ。
一般の人が五輪チケットを買うには抽選で選ばれるか先着でゲットするしかない。
そのためには強運を味方につけたり、時間と労力をかけたりする必要がある。
だが、富裕層はポケットマネーで一発でチケットが買える。
公式HPにクレジットカード情報を入れるだけでポンと買えるのだ。
これは明らかにオリンピック、またはスポーツ全般の精神、公平・公正に反している。
実際問題、オリンピック開催国が収益を上げるのは年々難しくなってきており、最近では候補国も減ってきている。
だが、オリンピックの核心に反してまで五輪ビジネスをするのであれば、それこそ本末転倒だ。
そんな国にオリンピックを開く資格はない。
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東京オリンピックから見るスーパーリッチたちの金銭感覚
庶民感覚からすると、いくら自国開催のオリンピックでもたった10日ほどのスポーツ観戦のために600万円ものチケット料金を払う人がいるのかと思える。
何しろそれは庶民の年収の倍以上の価格なのだ。
しかし日本にも億単位の年収の人は数十万人単位でいる。
彼らの金銭感覚は庶民とは2ケタ違う。
つまりこの最上級のホスピタリティパッケージは彼らにとって6万円、ちょっといいカメラを買うくらいのものなのだ。
世界を見れば、スーパーリッチ層やモンスターリッチ層もいる。
例えばサッカーのネイマールが渋谷のショップに来たときの話だ。
数人の友達と店に入った彼はアクセサリーなどを選びほんの10分ほどで100万円を使ったという。
しかし当時の彼の年棒が30億円だと知れば誰も驚かないだろう。
広告収入も入れれば100億円であり、庶民との金銭感覚は4ケタまで開く。
ネイマールにとって100万円とは千円なのである。
であれば10分で使っても何もおかしくない。
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東京オリンピックの富裕層向けチケットもモンスターリッチになると…
あるいはビル・ゲイツのような人もいる。
ウィンドウズの王たる彼の2017年の年収は1兆円を超えた。
彼は収入のほとんどを妻と作った財団に寄付しているので、単純計算はできない。
だが、ゲイツのようなモンスターリッチ層にとって庶民との金銭感覚は6ケタまで開く。
600万円のオリンピック・チケットもゲイツの前ではたった6円にしかならないのだ。
世界中に格差問題を広めた学者・トマ・ピケティはゲイツに関するおもしろいジョークを持っている。
100ドル札(約1万円)が道端に落ちていたら、それは誰にとっても大きな利益をもたらす。
しかしゲイツにとってそれを拾うことは大損になる。
なぜなら拾うにはひざを折る労力と1秒以上の時間がかかるからだ。
そんなことをしなくても、ゲイツは一秒間に500ドル(約5万円)をもうけているのだ。
何もしなくても彼は1分間で300万円、庶民の年収を稼ぎ出しているのである。
人類の格差は今やそこまで広がっている。
ホスピタリティパッケージという名の富裕層チケットにしても、おそらく瞬く間に完売することだろう。
そして、来年の東京オリンピックではTV中継の中、VIP席に座った富裕層の姿もたびたび映し出されることだろう。
それは私たち庶民の目に、どういうふうに映るだろう。
おそらくそれは最もオリンピック的ではないものとして映り、多くの人はそこから目を背けるはずだ。
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