『機動戦士ガンダム』が今年、
最初のTV放映から40周年になることをご存知だろうか。
それを記念して、
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』
が、13のエピソードで
TV放映されることになった。
ゴールデンウィーク真っ只中、
NHK総合、日曜の深夜枠であり、
多くの人がこころ待ちにしていることだろう。
21世紀をとうに過ぎ、
2回目の東京オリンピックを
来年に控えた今も、
ガンダムは人気を保っている。
一体、誰がそんなことを想像できたことだろう。
いつまでたっても死なないお化けアニメ、
ガンダムは一体、どうやって生まれたのか。
またその人気の秘密はどこにあるのか。
40周年を機に、
このSFアニメの金字塔を探ってみたい。
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フィギュアを部屋一番のインテリアに変えたガンプラ
ガンダムの人気には、
ガンプラことガンダムの
各種プラモデル模型も大いに貢献している。
意外なのは、
その最高の売り上げ年が
20年近く前のアニメ最盛期ではなく、
つい3~4年前にあることである。
つまり、勢いが衰えるどころか、
年々上がっているのである。
ガンプラ人気の第一の理由は、
フィギュアとしての価値にあるだろう。
つまりカッコよかったり、
綺麗だったりするからだ。
部屋に置いているだけで
インテリア的な価値を大いに発揮する。
ガンダムの話は知らなくても、
ガンプラを集めている人は数多くいることだろう。
そもそも今やフィギュア自体が、
室内のアクセントとして観葉植物と
人気を二分するほどになったと言える。
ガンプラはそのフィギュア人気の起爆剤になったものだ。
フィギュアは花のように
咲いたり枯れたりはしないが、
こころの持ちようによって日々変わって見えるものである。
最近は若い女性の部屋にも、
ガンプラが普通に置かれているようになった。
40年前からすれば、
それは驚くべき変化である。
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子どもたちを平気で置き去りにしたガンダム・アニメ
私は団塊ジュニア世代であり、
ガンダムの再放送を小学生時代によく見ていた。
だが多くの同級生と同じく、
シビアな戦争を軸にしたSF世界観にはついてゆけなかった。
誰もがガンプラだけに手を出し、
さっさと『キン肉マン』や
『ドラゴンボール』の明るく楽しい世界に目移りしていった。
一方、私の周りにもガンダムのファンはいた。
そういう人は大抵、
本をよく読み、
世の中のことについてよく知っていた。
なので、未来はそんなに良くならないよ
というシニシズムを持っており、
ガンダムの世界観にアジャストできたのである。
ガンダムはロボットアニメでありながら、
最初から子どもたちを置き去りにしていた。
それは恐ろしく大胆な試みだ。
しかし、だからこそ40周年記念で
国営放送たるNHKが新シリーズを
オンエアするようなことになったのである。
これがもし『キン肉マン』であれば、
受信料の不払い運動が日本全国で行われたかも知れない。
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ガンダムにおける初期からのコアなファン層の重要性
よく知られていることだが、
ガンダムの登場には
『宇宙戦艦ヤマト』の大ヒットが大きく絡んでいる。
『ルパン三世』もそうだが、
ヤマトも子どもを中心としたアニメファンの
一般層に受けたワケではなかった。
中高生以上をターゲットにし、
かつコアなファン層を築くことで売れたのだ。
この成功モデルがなければ、
ガンダムはなかっただろう。
アニメ界全体の成熟があったからこそ、
ガンダムは大人向き、
かつユニークで難解な世界観を築けたと言える。
それと共に、
それ以前におもちゃのロボットの
売り上げを獲得し、スポンサーを喜ばせていたことも大きかった。
つまりスポンサーの干渉という
物語クリエイターにとっての最大の障壁がなかったということである。
それでもTVアニメの初回放送は
視聴率が悪かったため、
スポンサーがかのジオン軍のエース、シャアを排除しようとした。
が、コアなファン層が
シャアの登場が減ったことに不満をぶちまけ、元に戻ることになる。
ルパンもそうだったが、
ガンダムもまた、
再放送で人気に火がついた。
名作とはいつも一般的に認められるのが遅くなる。
だが、分かる人は
最初から分かっているのである。
そういう初期のコアなファン層の
熱烈な応援があったからこそ、
シャアは生き残り、ガンダムも40年近く愛されることになったのだ。
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今に時代にも求められるニュータイプ
ガンダムが40年を経てもなお人気なのは、
その未来世界のリアリティによるところが大きいだろう。
ガンダムの原点には
地球連邦とジオン公国の戦争がある。
ガンダムの未来では
地球に人があふれたため、
エリート階層だけが地球に残り、
あとは宇宙に強制的に移住させられてしまう
そして移住した人類は
地球連邦によって管理されることになる。
ジオン公国は、そんな地球連邦に
反乱し独立を果たそうとする。
つまり前者は庶民の革命組織であり、
後者は富裕な既得権益層とも言える。
ガンダムのメインキャラ、
アムロは地球連邦側で、
シャアはジオン公国側。
こういう物語背景を知ると、
なぜ悪役のシャアの方がファンから愛されたのかが分かる。
シャアは根本的に民衆のヒーローという立場だからだ。
そして、ニュータイプという設定が、
ガンダムの核心にある。
時空を超えたコミュニケーション能力など、
さまざまな超能力を総称したものだ。
「サイコミュ」という
ニュータイプ専用のロボットがあるのもすごい設定だ。
それは人間という精神と
マシンという物質の相容れぬ融合であり、
とても深い。
こんなロボットものはたぶん他にないだろう。
ニュータイプはそのような
哲学性を備えたメタファーであり、
ガンダムの世界観を深めている。
ニュータイプは『スターウォーズ』のフォースのぱくりだとも言われる。
だが、この手の概念は、
SFの大作家フィリップKディックの
大昔からあったものだ。
過度に機械文明が発達した未来に、
スピリチュアルな人の目覚めがあるというのは自然な成り行きのように感じられる。
何より、ニュータイプには、
人類はみんな分かり合えるという希望も込められている。
主要先進国のどの国のトップを見ても
絶望的な面々が並ぶ中、
40年をへて再びガンダムが始動する意義はとても大きい。
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